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ラム・お知らせ

暮らす旅スタッフの京都に関するコラム、
お知らせや京都の催事・イベント情報など随時掲載していきます。

洗い茶巾と祝い提灯

2019.08.08 |

月に一度は、福太朗さんのお茶の稽古です。


今回は洗い茶巾の点前を教わりました。

水を入れた平茶碗に茶巾を浸し、点前の最中に絞り畳みます。

水滴が落ちる涼しげな音を楽しむ趣向です。

細かな作法は各自の学習に任せ、

「ここではお茶に向かう気持ちと、身体の姿勢と使い方を学んでください」と福太朗さん。

師匠の言葉に不肖の弟子は甘え、福茶の稽古を楽しんでいます。

晩御飯はひつじ食堂のジンギスカンをいただきました。

翌日28日は夕方から祇園祭の神輿洗い。

その前に寺町を歩いていたら、「福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦」の小宮理実さんにばったり。

やはり京都は狭いかも。

7月10日と同じ場所で集合し、揃いの法被で祝い提灯行列は準備万端です。

江戸時代には御輿を迎える提灯行列で賑わったそうですが、

祇園町の有志により、一昨年に復活しました。

江戸時代の祝い提灯の様子(「花洛細見図」宝永元年(1704)より)

スタートは7基の提灯でしたが、3年目の今年は32基に増えました。

昨年は鯛、今年は梅の提灯担当。祇園新橋の旅館「白梅」の提灯です。

八坂神社と四条大橋の間を往復する大松明や御輿を真近に観られるのも役得。

昨年は台風の影響で中止だった提灯行列。

今回は、御囃子に続く提灯行列を祇園町の皆さんが出迎えてくれました。

全赤信号で四条花見小路の交差点を渡るのは気持ちよいものでした。


今回の宿泊はグランバッハ京都。

朝食がいいとの評判を知り泊まりました。

つい食べ過ぎてしまうビュッフェよりもいいかも。

3日目は朝食後、蹴上から南禅寺へ。

久々に登った山門では東山から吹き下ろす風が爽やかでした。

その後、永観堂経由で吉田市蔵さんの鶴栖居の月釜へ。

さまざな人たちと出会える吉田さんの人脈に感動。

涼を尽くしたお茶会の後は,

白川で京ずしをいただき、京都を後にしました。

ハモの箱ずし京ちらし

すでに入梅ですが....

2019.06.11 |

 


近所の路地のあじさいも見頃です。


朝、青空が見えたかと思えば、夕方にはやっぱりポツリポツリ。とうとう梅雨に突入してしまいました。二十四節気では6月11日が入梅です。

柚子もならない、イチジクも一個しか実をつけない、ミョウガも葉っぱだけ……。負け犬感が充満する我が家で、唯一みずみずしく花をつけるのは、ドクダミです。匂いは別として、清楚なその姿に、毎年心洗われる思いがします。ドクダミは、裏切らない。

別名は魚腥草(ぎょせいそう)とか、十薬(じゅやく)とも。

さて、湿度と高温のダブルパンチに襲われる前に、台所の片付けをしなければ。

料理研究家の小宮理実さんは、梅雨入り前には一度、保存しておいた乾物を使い切ってしまうそうです。

乾物。ついついあれこれ買い込んでしまいます。でも使いかけがいつの間にやらガラス瓶の中に……。保存食材とはいえ、油断していると、忘れかけた存在になってしまいます。買い物に出ないと決めた雨の日こそ、台所整理を兼ねて、乾物料理をしましょう。


切り干し大根は、戻してタレに漬け込んでパリパリ漬けに。私は戻した切り干し大根を刻んで、納豆に混ぜ込んだりします。じこは万願寺唐辛子と炒め煮に。青っぽい香りがじゃことぴったり。ひじきは刻んだ野菜や油揚げと炊いた王道おばんざいに。小宮さんは、そのひじきの炊いたんを、水菜と混ぜてサラダにしたり、すし飯に混ぜ込んでばらずしにしたり、たまご焼きに入れたりするそうです。

「福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦」から。


関東ではあまり見ないのですが、京都では、やはり海藻の「あらめ」をよく使うそうです。食べ方はひじきと同じ。

寒天は、水羊羹にするのもいいですね。ゆであづきがあれば簡単そう。戸棚の中の乾物類、せっせと美味しく片付けましょう。

置き花の撮影

2019.06.05 | お知らせ

日本ならではの陰翳の美を語った谷崎潤一郎の「陰翳礼讚」。

青空文庫で無料でも読める名作ですが、写真家大川裕弘さんの写真を添えた

ビジュアルブック(パイインターナショナル刊)は版を重ねるベストセラーとして、

先日朝日新聞でロバート・キャンベル氏が紹介していました。


座敷にこぼれる障子越しの光りや蝋燭の灯りに照らされた金屛風、あるいは庭木の葉陰など、

日本の伝統的な空間にひそむ美を、大川さんのカメラはとらえています。


大川さんの写真を使うビジュアルブックの第2弾の企画があり、

福太朗さんのお茶の話をしたところ、

ぜひ撮影したいと話が進み、一緒に京都に行って来ました。

撮影初日は炉の点前と炭の撮影。

福太朗さんには快く引き受けてもらったものの、

すっかり初夏となった茶室で、扇風機や団扇を使いながらの撮影となりました。

二日目は私たちの稽古をかねて「置き花」をやりました。


以前にも紹介しましたが、花材を順に置いてゆき、

全て置き終えたら、次は順に外していく。

思い通りには決してならない代わりに、

思うがけない変化が楽しめる「置き花」ですが、

はたしてどんな本になるのか、

来年早々の刊行ということで、今から楽しみです。


吉田市蔵さんの月釜から山科疏水へ

2019.05.12 |

 連休最後の日は、帰りの新幹線も終電間近しかとれなかったので、腹をくくってゆっくり過ごすことにします。

 まずは、このブログでもたびたび触れている、永観堂そばの吉田市蔵さんの月釜へ。月釜というのは、お寺などで、毎月、決まった日に設けるお茶席のこと。基本的には会員のみ、もしくは会員のご紹介で参加することができます。「お茶のことをもっとよく知りたい」と思った時、いろいろな席で、初めてお目にかかる方々と席を同じくするのは、勉強になります。でも、吉田さんの月釜にお邪魔するのは、単に「楽しいから」。

 吉田さんの月釜、実はつい先日、NHKBSプレミアム 「にっぽんぶらり鉄道旅でも登場しました。ディレクターの方が、このブログを読んでいてくださったようです。うれしいですね。旅人の東ちづるさんが、「こんなに楽しいお茶席ってあるんですね」とびっくりなさった通り、吉田さんの月釜は堅苦しくなく、誰がお話ししても構わないんです。

 お茶席では、お正客(しょうきゃく。席のトップバッターのこと)とお詰め(最後を締める人)が大切な役どころ。お茶をよく理解なさっている方が担うもの、とされているので、自信のない人は、中ほどの席を死守します。映画『日日是好日』で、社中のお茶会で、必死になってお正客を譲り合うシーンがありましたが、「あるある」と苦笑いをした方も多いのでは。

 吉田さんの月釜では、吉田さんがしつらいのこと、お道具のことを、とてもわかりやすく説明してくださるので、「こんな質問、恥ずかしいかな」と余計な気を使う必要がありません。学生時代から、時間を見つけてはお茶を点て、いろいろなお茶席に足を運んだ吉田さんは、退職後、晴れてのお茶三昧生活に突入しました。ある時、『水の都 京都』でもご紹介した一之船入にある料理店に予約の電話を入れたら、「よくご存知のお茶人さんがお迎えしますよ」とご主人。訝りながら訪れると、そこでニコニコと出迎えてくれたのが吉田さんでした。お能関係のお客様も多い料理店、吉田さんの存在が、さらに特別な場所にしてくれます。退職後に、こんなに羽ばたくなんて。京都は、そういう方たちに出会えるのがうれしいのです。

 さて、吉田さんのお席の後は、知り合いを訪ねて、御陵(みささぎ)へ。待ち合わせは「疏水」。琵琶湖の水は、三井寺の手前から地下に入り、地上に出たり、トンネルに入ったりを繰り返して山科の北をめぐり、天智天皇陵の脇を通って蹴上インクラインの方へ向かいます。新緑の季節。透き通るような青もみじや桜の香気を浴び、疏水の流れる水音を聞きながら、気持ちの良い散歩をしました。

 天智天皇陵へは、疏水から一度三条通りへ戻って東へ。目印は日時計の碑。日本で初めて水時計をつくったのが天智天皇だったことに因んでの碑です。この碑が参道の入り口。別にねらった訳でもないのですが、この時期なのに意外に人影は少なく、参道を囲む背の高い木々の梢がざわざわしていました。

 この日歩いた距離、2万歩! 少しは体重減ったかな。

 

 今回の京都で訪れたのは、『京都 手仕事帖』でご紹介した、京大病院の南の路地にある「テノナル工藝百職」。小さな町家をお店としていますが、いつも思うのは、日当たりが悪いから庭木が育たないとか、狭いから家が片付かない、というのは言い訳だなあ、ということ。「テノナル」では、小さな前庭も鉢植えの植物でみずみずしく、店内もうまくディスプレイされています。

 それから、先斗町の路地にある、女性バーテンダー、中尾さんがいる「BAR Sand」。このお店も、『京のろおじ』で取材させていただきました。もの静かな中尾さんと、ちょっと言葉を交わしたくて立ち寄るのです。

 あてずっぽうに入ったのに、「当たり!」だったのが、京都市役所前のスペイン海鮮料理「la masa」。2000円のランチコースでしたが、タラと白いんげん豆に卵を落としてふつふついってるアヒージョだの、よーく煮込んだトリッパだの。ワインを飲まないですませる訳にはいきません。先客の、スペイン人ご夫婦も大満足のご様子。

 今回も、楽しい京都でした。


↑蹴上から歩いて永観堂へ。ねじりまんぼというトンネル。「ウー、マンボ!」


↑吉田さんのお茶席。今回は、おめでた文様尽くし。

↑いつも笑顔の吉田さん。

↑新緑の山科疏水。トンネルをくぐりながら、インクラインへ続きます。

↑御陵前の参道。

↑白砂の陵。


小宮理実さんのトークイベントと、「葺菖蒲」

2019.05.10 |

 5月5日端午の節供。

 ゴールデンウィークの後半、三条にある京都BALの地下にある丸善京都本店で、「料理研究家、小宮理実さんが語る「京都流 縁起の良い食と暮らし」と題したトークイベントが開かれました。

 新刊の『福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦』に掲載しきれなかった、小宮さんのブログの写真なども交えて、初夏からお正月にかけて、行事の食べ物から季節のしつらい、季節ならではの京都の食のことなど、お話ししていただきました。


 当日の小宮さんは、ふっくらかわいいピンクのおきものに、葵の文様の帯、菖蒲を意識したすっきり水色の帯締めを組み合わせていました。きもののことをもっと知りたい私は、「ねえねえ、小宮さん、そのきものは何ていう生地?」と聞きましたら、紅花で染めた紬だそうです。紅花! だからやさしい雰囲気なのですね。葵の帯は、もちろん、葵祭にちなんで。そういう遊びが、きものの楽しさです。

 書店内でのトークイベントでしたが、「アットホームな雰囲気にしたい」という小宮さんの希望で、ご持参の冷たいお茶とおやつの芋けんぴをお配りしました。お茶は、ほうじ茶と京番茶のブレンド。ほんのりスモーキーな香りが、少し暑くなってきた午後にぴったりでした。

 さて、トークイベントの終了後、烏丸御池のホテルにとりあえず荷物を置き、向かったのは、麩屋町通りの柊家さん。斜め向かいには俵屋さんもある老舗旅館通りです。見つけました! 柊屋さんの軒の上には、菖蒲とよもぎが葺かれていました。「葺菖蒲(ふきしょうぶ)」と言って、奈良時代から続いた宮廷儀式の一つです。そこから少し南へ下がって、炭屋さんでも葺菖蒲が見られました。青々とした香りの菖蒲やよもぎは、邪気を祓ってくれる、この時期縁起の良い植物。この日の老舗旅館は、きっと菖蒲湯でしょうね。お風呂に浮かべた菖蒲の葉で鉢巻をすると、頭痛のおまじないになる、とも言ったそうです。

柊家

炭屋旅館


 よもぎは薬草としても知られていますね。そういえば、この少し前に、寺町にある「寺町李青」で、よもぎと小豆の入った韓国餅をいただいたことを思い出しました。よもぎも小豆も、2大邪気払い食材です。

 夜は、『京のろおじ』でご紹介している「酒陶 桺野(やなぎの)」へ。自然派ワインと食事を、アンティークのうつわでいただける、美味しくてうれしいお店です。三条新町に移って11年。目の前の土の壁には一輪の花だけ。お酒と食事、ささやかな会話があれば、という、お茶室にも通じる潔さ。人気店なので、なかなか入れなかったのですが、この日は営業早々の時間だったので、お電話してみたら、大丈夫とのこと。ラッキーでした。

 この日歩いた1万6000歩。

※ 小宮理実さんの公式ウェブサイト

小宮理実さんの出版記念会

2019.04.17 |

小宮理実さんの出版記念会と、中山福太郎さんのお茶の稽古で、京都へ。

御所前の桜は満開でした。

今回の宿は御所西の京都平安ホテル。京都御苑を望むホテルはどれも造りがゆったりして落ちつけますが、美しい庭を眺めながら朝食がいただけるここは格別です。食後には庭の散策も楽しめます。部屋の窓からも見下ろせる池泉回遊式の庭は、アメリカの日本庭園専門誌「ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング」が選ぶ 2018年日本庭園ランキングで5位にランクインしたそうです。1位は島根の足立美術館。2位が 桂離宮というからすごい。平安神宮や無鄰菴の庭で有名な7代目小川治兵衞が公家屋敷の庭として手がけたそうです。

荷物をおいてさっそく、丸太町のkitとセカンドスパイスに器を見に行きました。2店とも『京都 手仕事帖』など暮らし旅舎の本の取材で訪れてから、折にふれ覗いてますが、特にセカンドスパイスの中村さんは、新しい作家や美味しいお店の情報源です。

翌日は、フォーシーズンズ京都へ、小宮理実さんの初出版記念パーティーに出かけました。料理教室の皆さんやお付き合いのある食品関係の方々をはじめ、多くの方々が集い、大盛況でした。

パーティ会場でゲストのみなさんを紹介する黄緑の訪問着姿の小宮さん。

令和元年5月5日には新刊を記念して、河原町通りの京都BALの

丸善京都本店で小宮理実さんのトークイベントがあります。

*日時:5/5(日)14:00(13:30開場) 

*会場:丸善京都本店 地下2階 特設会場 要整理券 先着30名


京都 おにぎり事情

2019.04.09 |

桜に誘われ、戸外でお昼ごはんを楽しんだ方も多いはず。

いよいよピクニックの気持ちいい季節ですね。

賀茂川沿いの桜並木は絶好のお花見ポイント。(写真は小宮理実さんのブログから)

料理研究家の小宮理実さんも、ピクニックが大好き。料理教室の生徒さんとの桜ピクニックは、献立の組み立て方や盛り付けの練習も兼ねた、華やかお重ですが、その朝、思い立ってのピクニックは、なるべく簡単準備が吉。とりあえずおにぎりを握るそうです。

ところで、新刊の『福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦』でも紹介したのですが、京都のおにぎりは俵形なんです。今はコンビニ用におにぎりマシンがつくる三角おにぎりの方が多く目につくようになってしまいましたが。

そんなお話を聞いていたら、見つけましたよ。俵形おにぎり。新幹線で京都に着いたら、そのまま近鉄名店街へ。「ハーベス 京都」に並んだおにぎりは、俵形! 手づくりです。ここでおにぎりとお惣菜を買って、景色のいい場所でピクニックも良いのでは。


ちなみに、鴨川とともに、ピクニックのおすすめスポットは御所。御苑内にある富小路休憩所には、菊マークの包装紙の照り焼きバーガーもあるんです。


リニューアルした中立売休憩所から、ハンバーガーも含めた軽食メニューがこちらに移りました。テニスコートの脇にあるので、テニスをする人たちを眺めながら、菊バーガー。デザートにはソフトクリーム。ああもうお腹いっぱいですね。

俵屋吉冨の菊歌仙はお土産にオススメですよ。

福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦

2019.03.13 |

来たる3月下旬、暮らす旅舎が企画編集した本

福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦』が発売されます。

料理教室やテレビ出演、雑誌の取材など日々活躍の場を広げる料理研究家・小宮理実さんの本です。

京都室町の生地問屋に生まれ育った小宮さんならではの京都の暮らしの楽しみかた、うまいもの、お楽しみ処などを織り交ぜ、

二十四節気の暦に沿った家庭料理や行事食をエッセイと写真でご紹介します。

また小宮さんのホームページでは一部レシピが掲載されてますので、ぜひご覧ください。

アマゾンで購入


小宮理実(こみや・りみ)

京都生まれ、京都育ちのおせち料理・行事食研究家。食材も時間も無駄にしない。ものの命は使い切る。つねは地味でもお祭、行事はきっちりと。祖母との暮らしで、京都ならではの暦を意識した食と暮らしを刷り込まれて育つ。現代の暮らしに、京都の知恵を生かす工夫を考案する日々。食育、企業の商品開発、テレビ・ラジオ・雑誌で活動中。会員制の料理教室「ふくちどり」主宰。


大晦日の夜に

2018.12.31 |

もう少し早くアップするつもりが、すでに大晦日。

この1年をふりかえれば、1月に福太郎さんにお茶を習うことにして、

月に一度京都に通うようになりました。

忘年会の一コマ。なんでも絵にする、ろうそくのあかり。

予習も復習も不十分な不肖の弟子ゆえ、先生には迷惑をかけてばかりですが、

12月なかばに忘年会があって、弟子たちが初めて顔をあわせる良い機会でした。

現在4組弟子グループがあり、それぞれの稽古の様子を訊ねると、

初めの掃除は共通ですが、あとはバラバラ。

おじぎや碁石の置きとりなどの筋トレがメインのチームもあれば、

古参の弟子チームは碁石は見た事がなく、ましてや中指を合わせて相手の動きについて行くダンスは

是非一度やってみたいそうで、あらためてユニークな福太朗さんの稽古に弟子一同感心しました。

 道具がないどころか、お茶を介さなくても、「茶の湯」の意味や感動をさぐる

福太朗さんならではのアプローチは、「お茶」の姿を剥き出しにするのかもしれません。

 

翌日は、午前中永観堂そばの吉田市蔵さん茶席にうかがい、午後は稽古に行きました。

掃除が終わって座る筋トレのあと、みかんがそれぞれの目の前に置かれました。

「みかんであると言葉で認識しないで、みかんを知らない子供が初めて目にした時の心で受け止めてみてください」

と福太朗さん。

赤味がかった黄色い丸い物体はみかん以外のものとして受け止めることは最早できませんが、

障子越しの光りのあたり方や、陰の落ち方、表面の凸凹など、普段は当然のものとしてよく見ることのないみかんを

たっぷりと観察している自分に気付きます。

次に出て来たのはクシャクシャにしたラップで、ゴジラに似ているとか、反射してキラキラと光る様子を眺めることになります。

 

この体験をあえてお茶に当てはめれば、出された道具を観賞する心構えともいえますが、

解説なしで芸術と向き合うように、結局は受け手の力量が問われるのだと思いました。


京都はお茶でできている』で生まれた縁ですが、どこまで広がっていくのかますます楽しみです。


あとわずかで新年ですが。みなさまいつもお付き合いいただきありがとうございます。

よいお年をお迎えください。


 

もみじの永観堂から鴨川へ

2018.11.21 |

永観堂のそばに暮らす茶人の月釜に初めて参加しました。せっかくだから紅葉見物もと早めに着くと、永観堂の門前はすでに黒山の人だかり。台風の影響から、今年の紅葉はもうひとつかもしれませんが、放生池越しに多宝塔を望む風景はさすが「もみじの永観堂」。みかえり阿弥陀にお詣りして、月釜へ向かいました。

 

亭主は、『京都はお茶でできている』で月釜情報を教えてくれた吉田市蔵さん。勤めをもちながらも、長年朝活で大徳寺や法然院、平安神宮等で開かれる月釜に参加されてきた方です。この春定年退職されたあと、自宅茶の間に炉を切り、念願だった茶人の暮らしを始めたのです。

 

毎月1週間ほど開く月釜には毎月100人近い来客を迎えるとか。当日10時半の席にはお客様は6人。その中でおふたりは暮らす旅舎の本の取材でお世話になった方でした。栖鶴居は、元は八百屋さんで吉田さんが生まれ育った家です。店の部分を待合として、山水の襖絵を路地の景色にみたて、茶室へ入ります。

 

虫食い跡が味のある炉縁や、庵の名とした「栖鶴」の扁額も、自ら古材フェチと話す吉田さんの発見物。学生時代にはじめたという藪ノ内流の点前で、裏千家の点前との違いを聞きながら、美味しく二服いただきました。道具を拝見したのち、参加客に配られたのは紙と筆記用具。軸の解説が始まります。

 

           大綱(だいこう)
紅葉乃比(ころ)栂尾尓天(にて)
都人たかおたかおと のぼるかな
とがの尾山乃 秋を知らねば

 

吉田さんによれば、軸は江戸後期の大徳寺の大綱宗彦(そうげん)の詠草(歌を書いた紙)で、歌人として知られ、茶の湯のたしなまれた禅僧だそうです。

「京都で一番の紅葉の名所は高雄神護寺。でももう少し足を延ばしたらもっと美しい栂尾高山寺があると大綱和尚は歌に詠んだ」と教えてくれました。

素人には軸は何が書かれているかたいていわからず、その場で説明を受けても、たいがい忘れてしまう。吉田さんは自身の経験から、軸を写真にとって、読み方と意味をメモしてもらえば、ずっと理解が深まり楽しみも増すと考えたそうです。

 

帰り際、愛用の茶箱をみせていただき、次の機会を楽しみに別れを告げました。次に向かったのは平安神宮に近い、現代アートのMORI-YUギャラリー。白夜の光を描いたようなミニマルな風景画が素敵な小栁仁志さんの個展をのぞきました。作品は以前から知っていましたが、小栁さんに会うのは初めてでした。

 

昼食後は、建仁寺両足院の「京焼今展2018六根清浄」へ。今回は陶磁と植物がテーマで、盆栽研究科家の植栽家川﨑仁美さんのトークイベントが聞けました。盆栽鉢の役割と重要性をうかがいましたが、松を大胆に描き、盆栽の紋をいれた川﨑さんの着物姿も素敵でした。陶芸家かのうたかおさんの作品も見応えありました。

 

 


して仕上げは京都下鴨にある川口美術。開業25周年を迎え今年、毎回力の入った展示を企画されています。この日は25周年記念茶器展Part2杉本貞光茶器展を開催していました。信楽に窯をもつ杉本さんは、信楽、伊賀、楽、高麗、美濃と桃山文化の茶陶に学び、わびさびを追及されてきた茶陶人です。翌日の最終日は、三井別邸の茶室で、中山福太朗が亭主を務める茶会開かれたのですが、参加できず残念。店を出ると、鴨川はもう夕景色でした。

 

川口美術では、12月1日から『京都はお茶でできている』で紹介した市川孝さんの茶車展が開催されます。

 


撮影/田中幹人 

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