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老舗の「カワイイ」

2014.12.03 |

子どものころ、クリスマスに「東京の叔父叔母」から小包で贈られた綿ローンのハンカチには、「都会の香り」「大人の香り」がしたものでした。

あのときの気持ちを思い出して胸がキュンとするのは、こんな「ドール柄」のハンカチ。チョコレートやビスケット、キャンディといっしょに毛皮の襟付きマントを着たり、黒いベルベット(想像ですが)のリボンをあしらった赤いドレスのドールたち。これが、京友禅の老舗「岡重」のハンカチと聞くと、びっくりしませんか? 

安政2年に創業した岡重は、いち早く多彩な染料を使って京友禅に新たな花を咲かせた染め物屋さん。その岡重には、羽織の裏に使う生地見本がたくさん残されていたのです。昔から、男性の羽織はほとんど黒と決まっていましたが、その裏にはあっと驚くような美しく、鮮やかな、時にはくすっと笑いたくなるような意匠の世界が隠されていたのです。花鳥風月、宝尽くしはもちろん、伊藤若冲や曾我蕭白からインスピレーションを得た意匠まで。創業以来のこの宝ものに光を当てたのが4代目の今のご主人、岡島重雄さん。羽裏地そのものの展覧会を開くだけでなく、その貴重で豊かなデザインを、ハンカチやシャツにつくり変えて現代の生活に活かせるようにしたのです。

というわけで、この愛らいドール柄ハンカチを私も手にすることができたのでした。実はこのドール柄、阿川佐和子さんも長襦袢に採用! テレビの中で「見て見て、かわいいでしょ!」と、きものの裾を惜しげもなくはしょって見せてくれていました。阿川さんらしい……。けれどすごくシンパシー。

岡重の「羽裏」展は、今年の夏にも東京で開かれていました。また開かれると思います。予定がわかりましたらこのコラムでもお知らせしますね。