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真冬の川べりで冷たい炭酸入り抹茶?

2017.02.18 |

 冬のある日、地下鉄北大路駅から賀茂川に向かうと、向こう岸の橋のたもとに爲さんの茶席が見えました。

 

 前夜は、ギャラリーYDSのおちゃばーに参加して、飛び入りでお茶を点ててくれました。川べりにしつらえた茶席に座ると、目の前で干し柿のお菓子をこさえてくれます。

 

 トラックに茶室を載せて、東北や熊本の被災地をはじめ、全国を回ってお茶をふるまう爲さん。京都では賀茂川北大路橋を本拠に不定期ですが鴨茶ならぬ「賀茂茶」をしています。寝袋持参の爲さんと話がしたくて、昼も夜もさまざまな人が訪れる茶席。ときには夜通しでお茶をすることもあるとか。

 

  爲さんは40歳の時に、利休が遺したという教え(注)にしたがい、師の元を離れました。しかしながら以来二十年間、孤軍奮闘。

 ところが陶々舎と出会い、初めて友軍を見出したといいます。陶々舎の鴨茶に刺激を受け、賀茂茶も始めました。誰もが参加できて楽しめる茶席を心がけている爲さん。 

「なにか、あっと思わせるバズーカ砲が欲しくて、思いついたのがこれ」と取り出したのは、フック船長の宝箱。映画の中ならこのなかに宝石がじゃらじゃら隠されています。箱の蓋をあけると、中から、背の高いグラスがいくつかとカクテルシェーカーがでてきました。


 鹿の角を削り出した大きな茶杓で抹茶をシェーカーに掬い入れ、そこに氷と京都の井戸水を注ぎ込むと、バーテンダーのようにシャカシャカふるい出しました。

 シェーカーからそれぞれのグラスに注ぎ込まれたのは、まるで炭酸割りのような細かな泡泡の緑のカクテル! 爲さんが点ててくれる抹茶はいつも、どうして?というくらい、美味しいのですが、この抹茶カクテルも、すっきりした口当たりの爽やかな飲み物。コートを着たままで、この美しいお茶をグラスで飲んでいると、川べりを散歩する人たちが、興味深げに振り返ります。

 気になったら、どうぞ仲間入りしていいんですよ。爲さんは、いつでも、誰でも歓迎してくれます。

 

(注)

 十五ヨリ三十マデ万事ヲ師ニマカスル也。三十ヨリ四十マデハ我ガ分別ヲ出ス。四十ヨリ五十マデ十年間ハ師ト西ヲ東ト違ッテスル也。其ノ内、我流ヲ出シテ上手ノ名ヲトル也。又、五十ヨリ六十マデ十年ノ間ハ師ノ如クスル也。名人ノ所作ヲ万(よろず)手本ニスル也。七十ニシテ宗易ノ今ノ茶湯ノ風体、名人ノ他ハ無用也。(山上宗二記より)