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陶々舎、ふたつの茶会

2017.03.22 |

桜のつぼみもふくらみかけた3月の3連休、陶々舎のふたつの茶会にでかけました。
『京都はお茶でできている』では取材側でしたが、今回は客としての参加です。

最初は九条AEON MALLの無印良品内で開催されたOPEN MUJIのワークショップ「茶と生活の輪郭」。


到着すると、当日2回目の茶会の最中。傍らで無印のワゴンを引いてお茶をふるまう天江大陸さんから一服いただきます。

さて私たちの番が回ってきました。亭主の中山福太朗さんから趣向の説明。無印の商品は無駄をはぶいたデザインと実用性が魅力。あっても邪魔にならない個性は、中山福太朗さん曰く「茶室で行う茶会では使わないものばかり」とか。ところが無印良品の売り場で行う茶会で、仕掛けをほどこせば見立ての茶道具として成立すると話します。

1月に陶々舎が無印で行ったワークショップでは、抹茶茶碗や茶入れや柄杓などを無印の売り場に紛れ込ませ、それを探してもらう趣向だったいいます。無印のシンプルな形やサイズ、色味は、利休以来の茶道具に通じるものがあるとのこと。そこでこの日の趣向は、工業製品である無印の商品を茶道具に見立て、茶会を開くというものでした。


テーブルには、はてなマークが描かれたカードが12枚並べられ、参加者がカードを引くと、裏には香合、軸、茶碗、茶杓、菓子器、水指、建水など茶道具の名前が書かれています。4人の参加者はそれぞれ買い物かごを持ち、引いたカードの道具に使えそうな商品を店内で探してきます。


20分の探索時間が終わると、テーブルには木や陶器やガラス、プラスチック製の無印良品が並びました。ここから福太朗さんの指導のもと、参加者同士で相談して、テーブルを並び変え、道具を配し、花を入れ、中国製のノートを軸代わりにかけると、無印の商品による見立ての茶席の完成です。


なかでもお茶会は初めてという女性が、香合の意味を初めて知って選んだのが、アクリルボックスとカラフルなナプキンリング。桜の枝の横に置かれると美しく映え、みごとな見立て。


無印のお菓子と抹茶いただいた後、席を変えると、アクリルボックスを立てた結界の役割の大きさも実感。この日は3回の席があり、それぞれ異なる道具組みと、即興の面白さ意外性を楽しめましたと福太朗さん。工業製品でも茶会の場所と仕掛け次第ではお茶に使えることもわかり、次回の仕掛けに期待大です。


翌日は昼過ぎから陶々舎の月釜。前夜にメールがあり、草花を2、3種持参して欲しいとのこと。


午前中に茶道資料館の「描かれた茶の湯」を見に行き、呈茶もいただきました。展示された絵巻から、祭りや花見の場には茶の湯が欠かせない存在だったことがわかります。

堀川通りから鞍馬口通りを抜け船岡山公園を歩きながら、道々、野の花を摘んで陶々舎に向かいました。


陶々舎玄関には桜の枝が飾られ、待合の花台には、参加者が摘んできたり、自宅の庭から切ってきた花が置かれてゆきます。大陸さんが出してくれたジャスミンティーをいただいて、参加者が揃うと、玄関から出て庭を回って茶室へ。


釜がかけられた炉の横には、金属製の丸皿が7枚円く並べられ、床の間に目をやると、その前に吊るされた木の枝が飛び込んできました。風に吹かれてゆっくりと回る枝に気をつけて座ると、亭主の福太朗さんが登場。「本日の趣向は花。持ってきていただいた花で、おきはな、すきはな、ちりはな散華を楽しんでもらいます」


花の舞台となるのが金属製の皿。元はパイ皿だったそうで、ひとりずつ皿に花を置き、一周したら座る位置を変えて、7人が順番に7枚の皿に花を置いていきます。花の景色の移り変わりを楽しむのが「おきはな」なのだそうです。花を鋏で切ったり、花びらをむしり散らしてもよく、中には回る木の枝に草花を結んだり、花を包んできた濡れたティッシュを置く人も出てきました。

誰かの意図があるのか、神の仕業か、7つの個性溢れる花景色が生まれました。


次の「すきはな」では、「おきはな』とは逆に、順番に花を取り除き花台に戻してゆきます。

福太朗さんによれば、「おきはな」では現れない妙な景色が楽しいのだそうです。気が付けば7枚の空っぽの皿が並びました。


そして「ちりはな」。花台にのった花をつかんで、それぞれが円く並んだ皿めがけて散らしてゆきます。

確かに美しさを狙わなくても、花は美しいのだとわかります。最後の偶然の花景色を楽しんでいると、愛信堂特製のヨモギのきんとんを持った福太朗さん登場。皿の隙間に7つの緑のきんとんを並べてゆき、自ら削ったという黒文字を配られると、「やられた!」と一堂の声。


亭主所蔵の茶碗のなかでも、一番女子力が高いという色絵と、高麗の茶碗でお茶をいただき散会。
花遊びかと思わせて、パイ皿を菓子器にしてしまった独創を楽しめた月釜でした。