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夏越祓の茶会

2017.06.30 |

前回はキキさんのパリの茶会をご紹介しましたが、今回は中山福太朗さんの茶会に行ってきました。茶狂(ぐるい)会が主催する6月の月釜、夏越祓の茶会です。

夏越祓とは、旧暦6月晦日に半年の無事を感謝して、穢れを落とし、残り半年の無病息災を願う行事です。大晦日の年越祓とは一対と言えます。いまでは6月末が近づくと全国的に行われていますが、東京は京都ほど盛んではありません。京都では上賀茂神社や下鴨神社の夏越大祓が有名です。境内には大きな茅の輪が飾られ、茅の輪くぐりの祓が行われます。このとき「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながら、茅の輪を左回り、右回り、左回りと8の字を描くように3回くぐります。また人形に穢れをうつす方法もあります。

茶会が開かれたのは祇園花見小路の一角にある甘味処「ぎおん楽楽」。参加したのは、その日5回目となる最終の会。待合の座敷に上がると、八坂神社の清水が用意されていて、喉を潤します。常連さんの会話を聞きながら待っていると、茶狂会会長の中田智之さんが現れご挨拶。お茶を始めて30年の中田さんは、お茶への情熱が冷めかけていた時、茶狂会を始めて情熱を取り戻したこと。以来4年間で300回を超える茶事を行なったことなどを話してくれました。

茶狂会は毎回亭主を変えて趣向を凝らした茶会を楽しんでいるそうですが、この夏越祓の茶会と並んで、定番なのが年末の鹿鳴館茶会。みなさん明治時代の紳士淑女になりきる扮装に心を砕いて時間を費やし、お茶は二の次になるほど楽しいとのこと。

   中田さんの後ろに並んだ人形。

挨拶を終えた中田さんが隣室への襖を開けると、現れたのは大きな茅の輪が。ゲストは順にくぐって、ふだんは甘味を楽しむ掘りごたつ式の黒塗りカウンターに腰掛けます。福太朗さんはカウンターの横に置かれた特製の点前座に座っていました。

    

茶碗は神代文字が器全面に描かれたものでした。

夏越祓には欠かせない和菓子、水無月を菓子器にのせて運んできた女性は、福太朗さんの大学時代の茶道部の後輩。彼女は「京都はお茶でできている」の陶々舎の月釜でお客の一人として登場しています。大粒の小豆がのった老舗老松の水無月をいただいていると、気づいたのは窓辺に飾られた人形。夏越祓の趣向と知ったのもあとのことですが、もっと驚いたのはその利用法。席が離れていて見えませんでしたが、福太朗さんはこの人形を茶杓の代わりにして頭の部分で茶入れから抹茶を掬っていたのです。

  

  

茶会を終えて、点前座を拝見。朝鮮の古い瓦を使った炉にも感心しましたが、茶杓がわりの人形の活用はそこにとどまりません。抹茶の緑に染まった人形にみなさん息を吹きかけ、それぞれの厄をうつしてて行くのです。あとで知りましたが、中田さんと福太郎さんは上賀茂で川に流してお祓いをしてくれたそうです。

その後、席を変えた親睦会では、ほとんど初めて会う方々と楽しいひと時を過ごし、再会を約束してFB友達になりました。