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茶のない「お茶」

2018.04.01 |

 「京都はお茶でできている」の出版から1年半。ついにお茶の稽古を始めることにしたのです。きっかけはお正月明けの京都。中山福太朗さんを新居に訪ねました。

大徳寺そばの陶々舎から同じ北区内の民家に移った福太朗さん。ガイセ・キキさんはチリに帰国。天江大陸さんは新しいメンバー2人とともに陶々舎を拠点に活動しています。3月に発売されたムック『お茶の京都』でもみなさんの活躍が紹介されています。

福太朗さんの新居は、土間に井戸がある農家の一角です。昨年6月に引っ越してから、柱梁や床を直すなど手を入れながら暮らしています。年明けに訪れた寒い朝。「台所の暖房はあきらめました」と福太朗さん。石油ストーブと火鉢で暖かな居間に通され、お茶を点てていただきました。「福ハ内」と書かれた菓子箱にはそら豆のような形の焼き菓子。

居間の隣は元仏間の床の間もある和室。奥の窓際には庭で朽ちかけていた水屋箪笥。もう少し手直しして台所で使うとのことです。陶々舎同様、ろうそくの灯で垂らされた畳には、炉を切り茶室として使えるようにしました。いまはここでお茶を教えているそうです。


半年ぶりのあれこれを話すうち、置碁をしましょうと福太朗さん。取り出された碁石を、白黒両方を掴みとって手元におきます。「順番にいくつでも、碁をおいていきます」古い床材を転用した低い卓子にばらばらと置かれる碁石。

「置き方でなんとなく人柄が知れたり、次々と変わっていく碁石の景色も面白いです」以前このコラムでも紹介した「置き花の茶会」にも通じる趣向です。抹茶がなくても「お茶」ができるのではと話す福太朗さん。パチリと置いたり、バラっと撒いたり、盤面の様子だけでなく音も楽しむ。その場に集中して、ひと時を過ごす「お茶」の時間。なるほどと思いました。

2日後新幹線に乗る前に、京都駅そばの崇神新町に寄りました。ここで陶々舎が釜をかけていると聞いたのです。崇神新町は京都駅から5分の街の一角に現れた、フードコートといえば近いでしょうか。好きなテーブルに座って好みの食事とお酒が楽しめるスタイルです。

福太朗さんや陶々舎新メンバーの三窪笑り子さんたちがお茶を振舞っていました。ワインにタパス、日本酒におでんを楽しんだあと、抹茶をいただきました。そのときです。楽しいお茶をこれからも追いかけるなら、福太朗さんに弟子入りするしかないと思い立ち、その場で志願したところ、心よく受け入れてくれました。 (次回は稽古の様子をお知らせします)