ラム・お知らせ

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もみじの永観堂から鴨川へ

2018.11.21 |

永観堂のそばに暮らす茶人の月釜に初めて参加しました。せっかくだから紅葉見物もと早めに着くと、永観堂の門前はすでに黒山の人だかり。台風の影響から、今年の紅葉はもうひとつかもしれませんが、放生池越しに多宝塔を望む風景はさすが「もみじの永観堂」。みかえり阿弥陀にお詣りして、月釜へ向かいました。

 

亭主は、『京都はお茶でできている』で月釜情報を教えてくれた吉田市蔵さん。勤めをもちながらも、長年朝活で大徳寺や法然院、平安神宮等で開かれる月釜に参加されてきた方です。この春定年退職されたあと、自宅茶の間に炉を切り、念願だった茶人の暮らしを始めたのです。

 

毎月1週間ほど開く月釜には毎月100人近い来客を迎えるとか。当日10時半の席にはお客様は6人。その中でおふたりは暮らす旅舎の本の取材でお世話になった方でした。栖鶴居は、元は八百屋さんで吉田さんが生まれ育った家です。店の部分を待合として、山水の襖絵を路地の景色にみたて、茶室へ入ります。

 

虫食い跡が味のある炉縁や、庵の名とした「栖鶴」の扁額も、自ら古材フェチと話す吉田さんの発見物。学生時代にはじめたという藪ノ内流の点前で、裏千家の点前との違いを聞きながら、美味しく二服いただきました。道具を拝見したのち、参加客に配られたのは紙と筆記用具。軸の解説が始まります。

 

           大綱(だいこう)
紅葉乃比(ころ)栂尾尓天(にて)
都人たかおたかおと のぼるかな
とがの尾山乃 秋を知らねば

 

吉田さんによれば、軸は江戸後期の大徳寺の大綱宗彦(そうげん)の詠草(歌を書いた紙)で、歌人として知られ、茶の湯のたしなまれた禅僧だそうです。

「京都で一番の紅葉の名所は高雄神護寺。でももう少し足を延ばしたらもっと美しい栂尾高山寺があると大綱和尚は歌に詠んだ」と教えてくれました。

素人には軸は何が書かれているかたいていわからず、その場で説明を受けても、たいがい忘れてしまう。吉田さんは自身の経験から、軸を写真にとって、読み方と意味をメモしてもらえば、ずっと理解が深まり楽しみも増すと考えたそうです。

 

帰り際、愛用の茶箱をみせていただき、次の機会を楽しみに別れを告げました。次に向かったのは平安神宮に近い、現代アートのMORI-YUギャラリー。白夜の光を描いたようなミニマルな風景画が素敵な小栁仁志さんの個展をのぞきました。作品は以前から知っていましたが、小栁さんに会うのは初めてでした。

 

昼食後は、建仁寺両足院の「京焼今展2018六根清浄」へ。今回は陶磁と植物がテーマで、盆栽研究科家の植栽家川﨑仁美さんのトークイベントが聞けました。盆栽鉢の役割と重要性をうかがいましたが、松を大胆に描き、盆栽の紋をいれた川﨑さんの着物姿も素敵でした。陶芸家かのうたかおさんの作品も見応えありました。

 

 


して仕上げは京都下鴨にある川口美術。開業25周年を迎え今年、毎回力の入った展示を企画されています。この日は25周年記念茶器展Part2杉本貞光茶器展を開催していました。信楽に窯をもつ杉本さんは、信楽、伊賀、楽、高麗、美濃と桃山文化の茶陶に学び、わびさびを追及されてきた茶陶人です。翌日の最終日は、三井別邸の茶室で、中山福太朗が亭主を務める茶会開かれたのですが、参加できず残念。店を出ると、鴨川はもう夕景色でした。

 

川口美術では、12月1日から『京都はお茶でできている』で紹介した市川孝さんの茶車展が開催されます。

 


撮影/田中幹人