ラム・お知らせ

暮らす旅スタッフの京都に関するコラム、
お知らせや京都の催事・イベント情報など随時掲載していきます。

吉田市蔵さんの月釜から山科疏水へ

2019.05.12 |

 連休最後の日は、帰りの新幹線も終電間近しかとれなかったので、腹をくくってゆっくり過ごすことにします。

 まずは、このブログでもたびたび触れている、永観堂そばの吉田市蔵さんの月釜へ。月釜というのは、お寺などで、毎月、決まった日に設けるお茶席のこと。基本的には会員のみ、もしくは会員のご紹介で参加することができます。「お茶のことをもっとよく知りたい」と思った時、いろいろな席で、初めてお目にかかる方々と席を同じくするのは、勉強になります。でも、吉田さんの月釜にお邪魔するのは、単に「楽しいから」。

 吉田さんの月釜、実はつい先日、NHKBSプレミアム 「にっぽんぶらり鉄道旅でも登場しました。ディレクターの方が、このブログを読んでいてくださったようです。うれしいですね。旅人の東ちづるさんが、「こんなに楽しいお茶席ってあるんですね」とびっくりなさった通り、吉田さんの月釜は堅苦しくなく、誰がお話ししても構わないんです。

 お茶席では、お正客(しょうきゃく。席のトップバッターのこと)とお詰め(最後を締める人)が大切な役どころ。お茶をよく理解なさっている方が担うもの、とされているので、自信のない人は、中ほどの席を死守します。映画『日日是好日』で、社中のお茶会で、必死になってお正客を譲り合うシーンがありましたが、「あるある」と苦笑いをした方も多いのでは。

 吉田さんの月釜では、吉田さんがしつらいのこと、お道具のことを、とてもわかりやすく説明してくださるので、「こんな質問、恥ずかしいかな」と余計な気を使う必要がありません。学生時代から、時間を見つけてはお茶を点て、いろいろなお茶席に足を運んだ吉田さんは、退職後、晴れてのお茶三昧生活に突入しました。ある時、『水の都 京都』でもご紹介した一之船入にある料理店に予約の電話を入れたら、「よくご存知のお茶人さんがお迎えしますよ」とご主人。訝りながら訪れると、そこでニコニコと出迎えてくれたのが吉田さんでした。お能関係のお客様も多い料理店、吉田さんの存在が、さらに特別な場所にしてくれます。退職後に、こんなに羽ばたくなんて。京都は、そういう方たちに出会えるのがうれしいのです。

 さて、吉田さんのお席の後は、知り合いを訪ねて、御陵(みささぎ)へ。待ち合わせは「疏水」。琵琶湖の水は、三井寺の手前から地下に入り、地上に出たり、トンネルに入ったりを繰り返して山科の北をめぐり、天智天皇陵の脇を通って蹴上インクラインの方へ向かいます。新緑の季節。透き通るような青もみじや桜の香気を浴び、疏水の流れる水音を聞きながら、気持ちの良い散歩をしました。

 天智天皇陵へは、疏水から一度三条通りへ戻って東へ。目印は日時計の碑。日本で初めて水時計をつくったのが天智天皇だったことに因んでの碑です。この碑が参道の入り口。別にねらった訳でもないのですが、この時期なのに意外に人影は少なく、参道を囲む背の高い木々の梢がざわざわしていました。

 この日歩いた距離、2万歩! 少しは体重減ったかな。

 

 今回の京都で訪れたのは、『京都 手仕事帖』でご紹介した、京大病院の南の路地にある「テノナル工藝百職」。小さな町家をお店としていますが、いつも思うのは、日当たりが悪いから庭木が育たないとか、狭いから家が片付かない、というのは言い訳だなあ、ということ。「テノナル」では、小さな前庭も鉢植えの植物でみずみずしく、店内もうまくディスプレイされています。

 それから、先斗町の路地にある、女性バーテンダー、中尾さんがいる「BAR Sand」。このお店も、『京のろおじ』で取材させていただきました。もの静かな中尾さんと、ちょっと言葉を交わしたくて立ち寄るのです。

 あてずっぽうに入ったのに、「当たり!」だったのが、京都市役所前のスペイン海鮮料理「la masa」。2000円のランチコースでしたが、タラと白いんげん豆に卵を落としてふつふついってるアヒージョだの、よーく煮込んだトリッパだの。ワインを飲まないですませる訳にはいきません。先客の、スペイン人ご夫婦も大満足のご様子。

 今回も、楽しい京都でした。


↑蹴上から歩いて永観堂へ。ねじりまんぼというトンネル。「ウー、マンボ!」


↑吉田さんのお茶席。今回は、おめでた文様尽くし。

↑いつも笑顔の吉田さん。

↑新緑の山科疏水。トンネルをくぐりながら、インクラインへ続きます。

↑御陵前の参道。

↑白砂の陵。