5月10日小宮理実さんのトークイベントと、「葺菖蒲」

Posted by K.
5月10日 Posted by K.

5月5日端午の節供。

ゴールデンウィークの後半、三条にある京都BALの地下にある丸善京都本店で、「料理研究家、小宮理実さんが語る「京都流 縁起の良い食と暮らし」と題したトークイベントが開かれました。

新刊の『福を呼ぶ 京都 食と暮らし暦』に掲載しきれなかった、小宮さんのブログの写真なども交えて、初夏からお正月にかけて、行事の食べ物から季節のしつらい、季節ならではの京都の食のことなど、お話ししていただきました。

当日の小宮さんは、ふっくらかわいいピンクのおきものに、葵の文様の帯、菖蒲を意識したすっきり水色の帯締めを組み合わせていました。きもののことをもっと知りたい私は、「ねえねえ、小宮さん、そのきものは何ていう生地?」と聞きましたら、紅花で染めた紬だそうです。紅花! だからやさしい雰囲気なのですね。葵の帯は、もちろん、葵祭にちなんで。そういう遊びが、きものの楽しさです。

書店内でのトークイベントでしたが、「アットホームな雰囲気にしたい」という小宮さんの希望で、ご持参の冷たいお茶とおやつの芋けんぴをお配りしました。お茶は、ほうじ茶と京番茶のブレンド。ほんのりスモーキーな香りが、少し暑くなってきた午後にぴったりでした。

さて、トークイベントの終了後、烏丸御池のホテルにとりあえず荷物を置き、向かったのは、麩屋町通りの柊家さん。斜め向かいには俵屋さんもある老舗旅館通りです。見つけました! 柊屋さんの軒の上には、菖蒲とよもぎが葺かれていました。「葺菖蒲(ふきしょうぶ)」と言って、奈良時代から続いた宮廷儀式の一つです。そこから少し南へ下がって、炭屋さんでも葺菖蒲が見られました。青々とした香りの菖蒲やよもぎは、邪気を祓ってくれる、この時期縁起の良い植物。この日の老舗旅館は、きっと菖蒲湯でしょうね。お風呂に浮かべた菖蒲の葉で鉢巻をすると、頭痛のおまじないになる、とも言ったそうです。

(左)柊家 (右)炭屋旅館

よもぎは薬草としても知られていますね。そういえば、この少し前に、寺町にある「寺町李青」で、よもぎと小豆の入った韓国餅をいただいたことを思い出しました。よもぎも小豆も、2大邪気払い食材です。

夜は、『京のろおじ』でご紹介している「酒陶 桺野(やなぎの)」へ。自然派ワインと食事を、アンティークのうつわでいただける、美味しくてうれしいお店です。三条新町に移って11年。目の前の土の壁には一輪の花だけ。お酒と食事、ささやかな会話があれば、という、お茶室にも通じる潔さ。人気店なので、なかなか入れなかったのですが、この日は営業早々の時間だったので、お電話してみたら、大丈夫とのこと。ラッキーでした。

この日歩いた1万6000歩。

※ 小宮理実さんの公式ウェブサイト