4月25日珈琲と酒のいい関係

Posted by S.
4月25日 Posted by S.

高校時代、植草甚一に憧れて、学校帰りに神保町の泰文社でポケミスを買い、「きゃんどる」に寄った。山小屋風の店内には珈琲色の木の家具が置かれ、SEIKOSHAの振り子時計が時を刻んでた。

茶房きゃんどるは昭和8年の創業で、いまはビルの一角で三代目のご主人が営業している。

神保町には、ほかにも「さぼうる」や「ラドリオ」「ミロンガ」と、クラシックな喫茶店が残り、大手チェーン店に席巻されてしまった東京のなかでは喫茶店の聖地だ。いずれも珈琲にウィスキーをたらして飲むことができる店で、飲み屋の帰りに立ち寄ってもいい。

かつて職場があった西新橋には、「リリー」という昭和29年創業の酒場があり、昭和24年開業のラドリオとはよく似た雰囲気の店だった。

父親と同じ歳のマスターがひとりで切り盛りし、年に数回は通っていたが、残念ながら昨年暮れに亡くなられ、店は閉店となった。

ひとり暮らしで、酒は飲めず、珈琲が好きで、キャベツを丸ごと煮込んで食べていた。

最近来ないからと友人のボトルを飲ませてくれ、「いいの、いいの」と歯が欠けた笑い顔が浮かんだ。

 

京都ではいまも個人営業の喫茶店が元気だ。老舗店から若い人の新店までそろい、暮らす旅舎でも何軒か紹介してきた。

 

アイリッシュコーヒーといえば、サンクトペテルブルクで飲んだ一杯を思い出す。プーシキンが決闘前に立ち寄った、「リテラトゥールノエ カフェ(文学喫茶)」のそれは、グラスにたっぷりホイップクリームがのっていた。ミロンガのものよりも量も甘さもロシアサイズだ。

ニューヨークのアル中探偵マット・スカダーが、行きつけのアームストロングの店で珈琲によくたらしていたのはバーボン、メーカーズマーク。実はウィスキーでもブランデーでも、焼酎でもコーヒーとスピリッツの相性はいい。

家では珈琲豆をキンミヤ焼酎に漬け込んで、楽しんでいる。

「京都 食手帖」で訪れた東山三条のサロン&バー「うえと」は午後2時から11時までずっとバータイム。しかもブレンドがあり、スピリッツもよりどりみどり。酒と珈琲好きにお勧めの店だ。

うえとの上田さん